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更新が途切れつつながら必死に何かに喰らいつこうとする高房のブログ 時々短編も書くよ!
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後日談―――

三日目のこと。
なんとなくあの日に見た夢のことを思い出したので
一応聞いてみた。もちろん機嫌のいいときに。

「んー。そうね。食欲?」
どこまでも食い意地の張ったお嬢様だった。
かといってなんか顔赤らめてるし。
今更あなたの食欲旺盛な胃に関して何も思うまい。
しいて言えばあれだけ食べてそのプロポーションを保てる
消化能力に興味があるくらいです。

「っていうのは・・・じょうだ」
ガラガラ・・・
いきなりドアを開けて入ってきたのは初日に出会った、美人看護婦。
それも眼鏡かけてる!
なんってこった、最強コンボじゃねえか。
ちょっとぼーっとしていた俺を見て
「あら、あなたは。」
と呟いて、菓子のゴミの山ができている部屋を見渡す。

看護婦さん、そんな鬼の形相で見つめられると照れるぜ。

その後一時間っもかかってないけど説教タイム。
俺はお菓子の持ち込みと不法侵入。
アイツはそれを止めさせなかった&お菓子を食べたので同罪。
ということだったはず。

またもやぼーっと眺めているとわき腹にエルボー三連発がクリーンヒット。
アイツは中学生のときに護身用にと空手を習っていた節があるので
鍛えられたエルボーは地味に痛かった。

なんだかんだで菓子を持ち込むは厳重注意を食らったので
持ち込めないが面会は許されたのでその後も退院するまで
毎日病院に通い続けた。

看護婦さんが目当てでじゃないというと嘘になるけど
やっぱり俺はアイツの世話係でそれが今一番気に入っている。
それ以外にやることもないし。
いまだに責任を引きずってるし。
アイツの笑顔をまだ見ていたいから
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面倒なことは先にする派の俺。単刀直入に
「すまなかったな・・・守ってやれなくて」

また沈黙・・・。

「・・・なんであんたが謝っているのよ。」
すこしくぐもった声が返ってきた。
今、謝るのはまずかったのか。

「先に言われたら言いにくいじゃない。」
「はあ?」
「えっと、その・・・ありがとう。助けてくれて。」
「あ、ああ。」

・・・プッ。
やばい吹き出してしまった。
なんか視線が痛いんですけど。
でもそれがまた脇をくすぐるように笑い声がとまらない。

「なによ!」
「いや―――何言われっるっかとっごほ」
笑い声に比例して顔の色が赤くなっているのは目の錯覚だと
思いたい。

プフッ
良く見ればあいつもいつの間にか笑っていた。
その笑顔がまた可愛いからすこしドキドキしながら
二人して笑っていた。

「それにしてもあんた大丈夫なの体。」
「ん、ああ。傷のことか、大丈夫。まああの後は結構痛かったけどな。」
傷のことに触れると体中に切り傷、刺し傷が結構あって十箇所ぐらい
つぎはぎを残している。爪は両手のとも三本ずつ割れていて物を
持つたびに取り落としていた。

なんだか念のためにもう一度謝った。
「もういいって。あんたが側にいなかったのは、わたしがあの時
あんたにお茶を入れるように頼んだから。その間に地震が
起きたのも偶然。運が悪かっただけ。あんたのせいじゃない。」
「そりゃそうだけど・・・」
「同じことをくどくど言わない。わたしがいいって言ったらいいの。
それでも言いたいのなら、キツーイお仕置きでもしてあげようか。」

「・・・・・・・・・・・」
今さっきとは違う、毒が少し混じったような笑顔で言われても。
眼鏡属性だが特にMっ気はないのでおとなしく身を引いた。

「よしそれじゃあティータイムとしますか。お茶はないけどね。
早くあんたが持ってきたお菓子持ってきてよ。病院のご飯って
なんだか食べた気がしないのよね。」
そうせかされて放り投げたお菓子の袋を取りに行く。案の定、
ポテトチップスとシュークリーム2つがつぶれていた。









病院に入るとにこやかな笑顔のナースに迎えられた。
そしてそのまま追い出されてしまった。
問題は手に持ったお菓子の袋。
お菓子は栄養が偏るからダメだとか、量が多すぎるかららしい。

「ここまで持ってきてそりゃないよな。それにしてもきれいな
ナースだったなー。」
と今は病院に再潜入中の俺。しかし断っておくが俺はナースが
特に好きなわけではない。どちらかというと眼鏡をした女性が
好みってそんな場合じゃなかった。

なんとかアイツの部屋までたどり着いた。結構時間がかかった。
それというのもアイツの部屋が最上階の6階の一番奥なんて
ところに部屋があるから。

さて、気を引き締めていざ!
ガラガラッ―――

即効で逃げたくなった。部屋の中が病院独特のにおいを遮断して
殺気が充満しているってどうなんだ。

アイツは俺とは正反対の方向をむいている。
入ってくる音で気づくはずだから意図的にそうしているのだろう。
これは間違いなく怒っている。
気まずーい雰囲気がこちらの口を開かせた。

「よー元気か。お前のためにこんなに菓子もって来たぞ。ナースさんの
監視から死に物狂いでな。・・・おーい。起きてます?」
「・・・・・・・・・・・」
・・・長期戦になりそうだ。

もってきたお菓子の袋を乱暴に放った。
ぐしゃっとつぶれたような音が聞こえたのは幻聴ではないだろう。

今俺は病院へと向かっている。

そんなおれの両手には花ではなく、お菓子の袋を抱えているのは
アイツの性格を見越してのことだった。

昔花見に行ったとき、桜など見もせず、団子ばかり食べていたという
ことわざをそっくりそのままやってのけたアイツならこっちのほうが
喜ぶと思ったからだ。

さらに抱えているお菓子が山のように積んであるのは、今日見た夢を
自分なりに分析してこれからの出来事を考えて・・・のことだ。

・・・夢にまで現れるなんて相当お怒りなのだろう。

それでも今はそれ以上のことは考える余裕が無い。
なぜなら積まれたお菓子の山により前が見えないため、足元を見ながら進み、
さらにつまづかないようにと転がっている石に注意しなければならないから。

すれ違う人が俺を見て苦笑している。それにつられて俺も苦笑した。

やっぱり少し多すぎたかと思っていると、4人ぐらいで遊んでいた子供たちが
こちらを物欲しそうな目で見ていた。

仕方ない、少し協力してもらうか。

子供たちの目の前まで来てわざとらしく疲れたようにお菓子を置いた。

「ああー疲れた。ここまで持ってきたけど、少し多すぎるなぁ。でも、
捨てるのはもったいないしー。・・・誰かもらってくれる人いないかなー?」
と、これまたわざとらしく言った。

子供たちは驚いたように俺を見ていたが、なにやらかたまって話し込んでいる。
少し聞き耳を立てると知らない人からものを貰ってはいけないってお母さんが
言ってたよ的なことを言っている。

もう一押ししてみるか。

「やっぱり誰もいないかー、貰ってくれる人。チョコが溶けるし、そろそろ行くか。」
悪魔で困ってそうに。

チョコは甘くておいしい。でもこの地方では作っている場所から遠く離れているから
値段が高く、子供たちのお菓子として出ることはあまり無い。
そんなチョコという甘い響きに子供たちは目を光らせた。

「だったら僕たちがもらってあげるよ。」
中でも一番背の高い男の子が前に進み出た。
よし、作戦成功。

「いやー、ありがとう。助かる。」
袋を二つ渡すと、男の子は嬉しそうに受け取った。

「それじゃあ行くね。みんなで仲良く食べるんだよ。」
「うん。ありがと、お兄ちゃん。」
男の子は子供の輪に戻った。他の子たちも口々にお礼を言った。

たまにはこういうのもいいかな。と、子供たちの笑顔を見て、自然に
顔がほころんだ。

お菓子の数も少なくなり、病院へと進む足取りは軽かった。

まあ、それもその後すぐに吹き飛ぶのだけれど。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今回から書くときは空欄を多くすることにします。少し見やすくなれば
いいなと思います。
それと長編を書くときはカテゴリーを新しく増やすことにしました。




突然激しい揺れが俺たちを襲った。
足がうまく揺れに乗り切れず、床に尻を打ちつけた。
揺れているせいで目に見えるものがすべて歪んでいて、ゆっくりしている。
まるで酔っているようだ。(まだ未成年だけど)
机の上のティーカップが下に落ちて粉々になるのに続いて、食器棚から
皿などが飛び出していく。ペンギンたちが海に飛び込むのに似ている。
特に自分の命を顧みずってところが・・・まあ皿に命ってもんがあればだけど・・・。
その様子を眺めながら、はっと思い出す。今アイツがここにいることに。

二本の足ではこの揺れで体のバランスが取れないから、四つんばいに
なりながらアイツのいるはずの部屋へと進む。
すると今さっき食器が飛び出していた食器棚が倒れてきた。
とっさのことで避けきれない。
しかし運良く食器棚は机に倒れて、机が食器棚を机が支える形になって俺の
上に倒れこまなかった。それに中から食器が落ちてくることも無い。
まさに危機一髪だった。
そのまま這いつくばって部屋を出て、アイツのいるはずの部屋へと向かう。

部屋に着くと中は俺のいた部屋よりもひどい状態だった。
あちこちに瓦礫の山があった。アイツの姿はどこにもない。
揺れは小さくなっているがまだ続いている。
俺はアイツの名前を呼んだ。何度も何度も繰り返し。それでも返事はない。
もしかしたら瓦礫の下敷きになっているかもしれない。
そう思ったら、手前の瓦礫から順番にどけていく。
早く見つかって欲しいという思いとこんな所で見つかって欲しくないという思いが
激しくぶつかりあって、瓦礫を除けていく手が急ぐ。

三つ目の瓦礫を除けていると中からアイツの白い腕が見えた。それを見つけた
瞬間、必死になって掘り出す俺がいた。必死になりすぎて爪が割れたのも
かまわず瓦礫をどけていく。割れた部分から血が吹き出ている。
でもそれに負け無いほどにアイツの白い肌も赤く染まっていた。上半身が
見えてきたので体を引きずりだそうとした。
でも右腕が動かない。見ると白い腕が俺の右手を強く掴んでいる。
そしていままでピクリとも動かなかった頭が顔を上げた。
「っっは!?」
思わず息を呑んだ。
目のあるべき場所にはとても暗い穴が開いていた。額から流れ出た血が
その穴に流れ込んでいる。
「ゼッタイニユルサナイカラ」

起き上がった時には体にねっとりとした汗がまみれていて気持ちのいい
朝は迎えることができなかった。
時計を見ると昼過ぎだった。


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パチ
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30
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男性
誕生日:
1993/06/08
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高校生
趣味:
読書・ゲーム・執筆
自己紹介:
思い立ったが吉日で始める。工業高校に通う口下手高房が話しを書くブログ。
暇な時に読んでいただければ幸いです。
感想もらえると嬉しいです。
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